Kei Harada

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【ユニマガ vol.2】応援学科の誕生はありうるか

スポーツビジネスに関わりたいと志す学生は多い。そしてその大半が、この業界は決して稼げる世界ではないことを既に知っている。にも関わらずなぜ多くの学生がスポーツビジネスをやりたいと言い続けるのか。それは学生にとって、それでもこの業界で働くことのやりがいと魅力を感じているからであるのは言うまでもない。こうした状況が生むことは大体予想がつく。各プロクラブはインターン希望の学生をタダで雇い、学生もこの申し込みに殺到。タダでもインターン枠の奪い合いになる。それどころか学生が金を払うことも珍しくない。毎日のようにいたるところで開催されるスポーツビジネスのセミナーの参加費は何千、何万円にも上る。もはやクラブ経営よりセミナーを開いたほうが儲かりそうな勢いだ。クラブがタダの労働力として学生を雇うこと自体は本質的な問題ではない。学生だって経験を積めるわけだし、両者winwinの関係であれば決して奴隷契約ではない。問題なのは、これだけタダの労働力が市場に溢れていると、クラブは給料を払ってスタッフを雇う必要が無くなってしまうのである。つまり「職業」としての雇用が減るのだ。スポーツビジネスを志す学生が増えれば増えるほど雇用が減る。とんでもない悪循環である。

【ユニマガ vol.1】一緒に大学スポーツを観に行こう

常勝軍団鹿島アントラーズのホームタウン鹿嶋市の人口は約67,000人。それでもアントラーズの平均観客動員数は約19,000人を数え、今も日本サッカー界の頂点に君臨する。一方日本最大の学生数を誇る日本大学の学生数は、鹿嶋市を上回る約74,000人。さらに卒業生数は何と100万人にも上る。コミュニティの大きさなら都市部の自治体にも引けを取らない。「大学スポーツって、その大学の人しか観にいかないでしょ?」とよく言われるが、それでも充分な数を集められるはずだ。慶應の学生が慶應の試合を観に行くことも、早稲田の学生が早稲田の試合を観に行くことも、日本人が日本代表の試合を観に行くことと同じように、そこに理由なんていらない。ところが今の大学スポーツの問題はここにある。来るべき人が来ていない。特にサッカーはメジャースポーツ。サッカー好きの大学生なんていくらでもいるはずだ。それでも普段の試合はほとんど観に来ない。私が早慶戦の集客を通じて感じたのは、彼ら意外と「誘えば来る」のだ。いくら告知しても来なかった層が、直接声をかけて誘ったら来たのだ。そう、集客の特効薬は地道な声がけを続けることだった。我々は集客について、企画や告知をどうするかについてかなり考えたのだが、声がけについてはある意味盲点だった。それを考えると我々がまず取り組まなければならないのは、誘えば来る層を何度も呼んで固定客にすること。まずは足元から。綺麗な華を咲かせるためには土から手を加える必要があるように。